タルバーがチャーリングしていない理由
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タルバーがチャーリングしていない理由
──ウイスキーも樽も、何も分かっていなかったところから
先に大事なことだけ。
「タルバーはチャーリングしていない」と言うと、“生木(新材のオーク)”に見えるかもしれません。
でもタルバーは生木ではなく、シェリー/ラム/ポートワイン/ウイスキー(バーボン・アイリッシュ等)の熟成に実際に使われてきた酒樽材です。
(=すでに酒と時間を通ってきた「シーズニングされた樽材」です)
ウイスキー好きやった。でも、詳しくはなかった
正直に言うと、もともとウイスキーが「めちゃくちゃ詳しかった」わけではありません。
20年くらい前、角ハイボールブーム。その流れで角を飲みはじめたけど、当時は味とか熟成とか、特に意識してなかった。
その後はワインやチューハイなど、その時その時でいろんなお酒を飲んでました。
中国出張が増えて、ウイスキーに戻った
仕事で中国出張が増えた頃、もう一度ウイスキーを飲むようになります。理由はシンプルで、
- 日本酒は、めちゃくちゃ高い
- チューハイは、正直飲めたもんじゃない
消去法でウイスキーやった。この頃もまだ詳しかったわけじゃない。
たぶんこの時、はじめてタリスカーを飲んだ。最初はスモーキー感が苦手やったけど、気づいたらクセになって、今では大好きになってます。
金はない。でもウイスキーは飲みたい
当時はまだ余裕がなくて、高いウイスキーはそうそう買えない。だから家で飲むのはホワイトホース。
「安いウイスキーでも、もうちょっと美味しく飲めへんのかな」って、ぼんやり考えはじめたのはここからやと思う。
コロナ禍と、住田屋のようこさん
コロナを経て、住田屋のようこさんに出会った。ウイスキーをほんまに熱量高く語る人。
その熱にあてられて、ちゃんとウイスキーを勉強するようになった。
そこで腹落ちしたのが、
「ウイスキーは、樽で熟成されて美味しくなる酒」という当たり前。
デュワーズ カリビアンスムースの衝撃
ちょうどその頃、デュワーズ カリビアンスムースを飲んだ。正直、衝撃やった。
「同じウイスキーでも、どの酒樽を通るかで、ここまで変わるんや」って。
ここで完全にスイッチが入った。
樽を手に入れた。でも、分かってなかった
「じゃあ樽や」ってなって、実際に酒樽を手に入れる。
でも今ならはっきり言える。この時は、まだ何も分かってなかった。
ウイスキー樽=焼く。火を入れたら美味しくなる。
そんなイメージを、そのまま信じてた。
いろんなタルバーを試した
ここから、ほんまに試行錯誤した。
- 何もしていないタルバー
- 片面だけ焼きを入れたタルバー
- 全面に焼きを入れたタルバー
- 焼き印を入れたタルバー
「焼いたらどうなるんか」「どこまでやったらええんか」
全部、自分で確かめた。
酒樽のチャーリングは「構造」の話
調べて分かったのは、酒樽のチャーリングは「味を足す魔法」じゃなくて、樽の中に“構造”を作る工程やということ。
- 炭化層:雑味の吸着(いわゆるろ過)
- トースト層:香り・甘みが立ちやすい層
- その奥:樽としての呼吸に関わる部分
そして大事なのは、これが“樽の厚み”があるから成立するということ。
でも、スティックは樽じゃない
全面チャーの場合
- 熱が中心まで届きやすい
- トースト層が育つ前に炭化しやすい
- 結果、「炭の棒」寄りになりやすい
片面チャーの場合
- 反対面(生木側)が先に反応しやすい
- えぐみ・青さ・木のくさみが出やすい
- チャー面の吸着だけでは打ち消しきれないことがある
つまり、スティックに「樽と同じ焼き」を持ち込むと、樽と同じ熟成にはなりにくい。
だから、タルバーは焼かない
いろいろ試した結果、一番納得できた答えはこれでした。
後から火を入れる必要はなかった。
すでに酒樽には、チャーやトーストの履歴、酒が染み込んだ層、長い時間がある。
そこに焼きを足すのは、時間を上書きすることやった。
「でもチャー済のタルバーあるやん?」について
ある。キルホーマンやジェムソンなど。
これはタルバーでチャーしたわけじゃない。
その酒樽自体が、もともとチャーリングされた履歴を持っている。
タルバーは、チャーを足さない/風味を作らない/履歴をそのまま切り出すだけ。
タルバーが届けたいのは、味じゃなく「時間」
TARUBARは、木の棒を売っているんじゃなくて、その先の体験を届けたいと思っています。
2週間後の「変わった」を、誰かと話せる。誰かに手渡せる。
その“あいだ”ごと、熟成体験やと思ってます。


